プロフィール

yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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蟻地獄に陥った東芝の原発事業

気がかりな東芝の行方                  2017,2,25

昨日から今日にかけて、東芝の米原子力事業での巨額損失に関して、夥しい記事・報道が流されている。
日経新聞の記事でも、各面にわたって、記されている。

・24日(金)夕刊1面・・・WH 米破産法も選択肢     (情報先不明)
同3面・・・東芝、半導体4月分社 株過半売却含め検討  (東芝発表)
同4面「ウォール街ラウンドアップ」・・・米電力滲む東芝リスク(稲井創一)
同5面「注目ニュース番組」・・・東芝株、値動き荒く
                             (日経QUICKニュース) 
25日(土)朝刊3面・・・メモリー高値売却探る        (前日の解説)
同14面・・福岡の石炭火力売却 東芝 ファンドに220億円で
                                    (東芝発表)
年初来の記事を寄せ集めると、新聞1日分以上となり、このまま続けば、本一冊が出来上がりそうである。

入手できる情報が不十分で、整理できていない面もあるが、福島原発事故を追いかけてきた手前もあり、とりあえず現時点で感じたことを書いて見ることにした。

1、損失の原因
東芝は、この事態を知っていたのか、だまされたのか?これは、まだ、謎のままである。

2006年、東芝は、WHを高値買収した。
それでも、当時は、CO2削減・温暖化対策としての原子力発電に対する評価は高く、WHの事業展開は順調にすすむものと思われていた。
それが暗転したのは、2011年11月の福島第1原発の事故である。
世界各国の政府は、一転して、原発に対し慎重になり、新規案件は頓挫し、既存の進行中の案件にも、大幅な規制強化が入った。
米国のNRC(原子力規制委員会)も同様である。米国で建設中の4基についての、コストが急増し、完成が遅れた。
WHの業績は悪化し、東芝は、2016年3期決算まで、減損損失を計上し続けて来た。
WHに関わる減損損失は、決算書にあたって調べた訳ではないが、累計3~4,000億円にも上るのではなかろうか。

そして、ダメ押しのごとく、今回の事件というか事態が起きている。
米国では、日本と違い、原子力発電所の建設にあたって、固定価格条項があると言われる。
追加費用が発生した場合は、電力会社ではなく、建設側の負担であると。
その追加費用の負担を巡っては、WHと建設側の原子力サービス会社(S&W)の間で、裁判があり、WHが勝訴したと言う。
それにも関わらず、裁判に勝った筈のWHが、そのS&Wを、2015年12月、0円で買収してしまった。
そのS&Wは既に赤字で、それを合算すると、損失額は、12月末で7,125億円になると言う。
米国原発4基は、ほぼ完成に近い、そして、この損失7,125億円は、規制強化がもたらした損失であるとのことである。(1基あたり、平均1,700億円にもなる。)

大きな疑問が、2つ残っている。
何故、WHは、S&W買収したのか?東芝は知っていたのか?
推測でしかないが、S&Wは、所詮、破綻するしか道はなく、資金も回収できない。その上、原発も完成出来なくなる。それなら、S&Wを買収し、東芝をバックに、資金の面倒を見てもらい、原発を完成させて、電力会社からの資金回収を図ろうと思ったのかも知れな。
これでは、東芝は、詐欺にあったような話しにもなりかねないが。

東芝の負担は、これで終わるのか?
もし、WHが、米破産法になれば、WHと縁が切れる。総額でいくらドブに捨てたことになるのか不明だが、(買収資金6,600億円に、何をどれだけ加算すればよいのか判らない)、蟻地獄のような米原発事業からは、縁が切れるかも知れない。
しかし、殆ど完成に近い原発なら、もう少し辛抱すれば、米NCR規制強化によって発生した費用は別として、それ以外の分は回収できるかもしれない。但し、これは、WHの原子力事業がが、今後順調に展開できるとしたらの話であるが。
いずれにしろ、未だ不明な点が多く、今後の明確な見通しが立てられない。

2、何故、東芝のWHの高値掴みを行ったのか

2006年、東芝は、WHを6,600億円の高値で買収した。
この年は、東芝の100年に及ぶ歴史でも、大きな転換点になったかもしれない。
何故なら、日立、三菱電機、三菱重工と比較すると、その後の10年の歴史も、そして、これからの将来展望も、大きく掛け離れ始めたからである。日立外3社は、集中と選択と言う言葉が使われても、業容は拡大路線である。それに比べると、東芝は、「解体の始まり」であったかと思われる。

重電をコアとした総合電機メーカーは、日本に3社あった。日立グループ、東芝グループ、三菱電機・三菱重工連合体である。
そして、米国には、GEとWH(ウエスティング・ハウス)の2社があった。
日本企業の原子力発電事業への参入は、GEの沸騰水型では日立と東芝が、WHの加圧水型では、三菱重工が、技術導入を行って参入した。
世界の原子力発電事業は、その後、安全性の観点から、WHの加圧水型が主流になっていった。(図らずも、福島原発事故で、証明された結果となったが。)
GEは、原発では劣勢だったが、歴代の経営者の質が良かったためか、世界に冠たる企業としては、隆々たる地位を保ち続けて来た。一方、WHは、総合電機としての地位を徐々に失い、最後は、原子力事業しか残らなくなり、遂に、2006年には、身売り先を探す結果となった。

当時、WHは、AP1000を中国に売るなど、それなりに健闘していた。
しかし、原子力発電設備についての技術レベルは、日本の方が、米国2社のを追い越していた。
三菱重工業は、WH買収の最有力候補と言われていたが、「WHには、もう、学ぶべきことはない」として、それなりの評価しかしていなかった。(多分、2,000億円前後だったと記憶しているが、ネットで調べたが、入札金額に到達できなかった。)
それを、何と、東芝が、2倍以上の価格(追加費用を含め、6,600億円に上るとか)で落札し、三菱重工をあきれさせていた。

東芝は、何故、そんな高値で買収したのであろうか?、
原子発電事業の中で、東芝は、最も劣勢であった。仮に、日立1、東芝1、三菱重工2であったとしても、圧力容器に、日立は直系でパブコック日立を擁しているのに対し、東芝は、IHIに依存している。
一つの原子力発電所の計画があっとしても、東芝の関与できる部分が少なかった。
GEの尻尾を追いかけまわし、日立と一緒に、最先端のABWRを開発したと言っても、所詮、3番手には変わりない。
東芝にとって、WH買収は、沸騰水型、加圧水型の車の両輪で走るしれるという、乾坤一擲の挽回策だったのかも知れない。
今となっては、蟻地獄への第一歩であった。

この高値の買収劇は、GEの陰謀とも揶揄されている。
独禁法で買収に参画できないGEが、東芝を使って、阻止したと。もし、今回、WHが米破産法を申請し、身綺麗になったところで、GEが傘下に収めたとしたら、如何にも、もっともらしいストーリーとなるのだが。
但し、WHにそれだけの魅力があったとしての事であり、米国政府の支援付きが条件であるが。

3、上場維持と銀行取引

東芝は、上場廃止を回避するため、四苦八苦している。
3月末、自己資本は1,500億円の債務超過見通しで、東証1部から2部指定変えは、必死である。
そこで、メモリー事業を、如何に高く売却できるかが、当面の課題であるが、その売却候補先が、米ウエスタンデジタル、マイクロンテクノロジーとは、まるで、東芝は、ハイエナに追いかけまわされいるような感がある。それに続く先が、韓国SKハイニックス、台湾鴻海精密工業では、東芝の従業員も、心細くもなるであろう。

東芝が、みずほ銀行で、要注意先に格下げされたとの記事があった。メイン筋の銀行が格下げすれば、他行は、横串的追随する。銀行員にとって、東芝とどう付き合って行けばよいのか、苦慮するであろう。
私は、今から35年近く前、1980年代初頭に、銀行の融資担当者として、東芝を担当していたことがある。
当時の銀行の融資担当者にとって、取引先は、身内の様なものである。
東芝の野球を見に行ったり、独身ながら、東芝のテレビや冷蔵庫を買った記憶が残っている。
当時関わり合った人は、誰一人に残ってはいないであろう。しかし、今、私が融資担当者だったら、どう対処すべきかを考えると、あの東芝がと、心痛むモノがある。

4、資産売却
東芝は、次々と事業を売却することで、生き残りをかけている。

新聞記事によれば、福岡県大牟田市に、二つの石炭火力発電所を所有している。そして、
三池発電所・・・大和証券系の投資ファンドに売却220億円(売却益100億円)
三川発電所・・CO2分離回収技術・・実証実験の開発拠点として残す。

今までの、各種の事業を売却行って来た。
2015年11月、画像センサー事業を、ソニーに売却
2016年3月、白物家電を、中国の美的集団に売却
2016年12月、東芝メディカルシステムズを、キャノンに売却
2017年3月、半導体部門を分社、売却を計画

東芝は、グループを解体し、次々と事業を売却することで、会社名を残そうとしている。
しかし、原子力発電事業で破綻した似たような会社がある。
東京電力である。
東京電力は、既に、破綻している。決算も、実態は粉飾であり、PLは赤字で、BSは債務超過である。
稼働出来ない、そして、稼働の出来そうもない発電所を、減損損失処理していない。
将来発生確実な費用、引当していない。
役所主導で、粉飾経理を続けており、未だ上場している。

私は、以前、次のように記した。
東京電力の子会社、関係会社、不用資産は、全て売却すべし。
水力発電所、石炭火力発電所は、Jパワーに売却すべし。
LNG発電所は、東京ガスに売却すべし。
配電部門は、分離設立し、中部電力、東北電力に譲渡すべし。
残った東京電力は、政府の支援のもとで、原発の廃炉に注力すべし。場合によっては、日本原子力発電と統合する。
ところが、
売却したのは、散々新聞で叩かれた東電病院だけである。それも、近隣の慶応病院に売却したなら、少しは、都民の役に立ったかもしれないが、マンション業者に売却した。
外の売却は、全く行わず、粉飾決算を続けたまま、以前と変わりないかの如く、営業を続けてている。

それに比べて、東芝は、日本国民に何らの被害を及ぼした訳ではなく、
詐欺に」引っかかったかのような形で、会社の解体が始まっている。
東京電力は国営企業で、東芝は民間企業であるかのごとき感がある。
世の中、何処か間違っている。
東芝が、民間企業で、解体が当然というなら、東京電力もそうさせるべきである。
東京電力に政府が支援を行うなら、東芝にも当然の支援があっても良いであろう。

今回の騒ぎで、時々、思うことがある。
福島原発事故の後始末は、今後、何十年も続く。そして、東芝の、国内原子力事業は、貴重な戦力である。
東芝の先行きが不透明なら、半導体事業の分社・売却よりは、先ず、国内原子力事業を分社独立させ、それを、日立に統合させ、福島原発の対策に専念させて欲しいと思っている。





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