プロフィール

yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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改正金商法と超高速取引

とても、HFTを取り締まる気はあるとは、思われない   2017、5、29
ー現代の金融(3)-

今朝の日経に、次のような記事が載っていた。
「改正金商法が成立、株の高速取引、規制の3本柱」
「投資家の登録制」、「取引記録の作成と保存」、「証券会社の代理売買禁止」
「HFTの暴走ではないか」。特段の材料はなく個別株や株価指数が急変する。
と言われ、それが、今回の規制となった、と。

補足記事で、2010年5月の「フラッシュ・クラッシュ事件」や、12年のフェイスブック上場の際のシステムダウンがあげ、高速取引の規制は、欧米が先行し、日本も高速取引業者の登録を制を打ち出したことで、日米欧で足並みがそろうと。
私の記憶によれば、少し、違うように思われる。

HFTは、数あるプログラム(或いはアルゴリズム)取引の一つで、プロップファームと呼ばれる専門業者の、超高速取引による値鞘稼ぎシステムである。
昔は、株式ディーラーが、ポジションを持って、値鞘稼ぎを行っていたが、今では、出番がなくなり、最近は、HFTに取って替わられた。数年前は、外資系証券を主体に6~7本動いていたと聞いているが、今の本数は知らない。
欧州では、早くから(2000年代)、HFTには問題あるとして、規制に動こうとしていた。
しかし、米国の反対で、なかなか先に進まなかった。
それに対し、日本は、逆に動いた。それまでの、東証のシステムは、HFTを効果的に動かすに、難があったのだが、2010年「アローヘッド」と言う売買システムを導入し、板上の変化を4秒から、100分の1秒に早め、更に、業者に対して、アクセス時間短縮を図るために、取引に近いところにサーバーを設置出来るように便宜を図った。加えて、株価を、1円刻み以下の銭単位でも、取引出来るようにもした。

日本の証券取引所は、問題があると指摘されているにもかかわらず、HFT業者の為に、便宜を図ってきたのが、ここ6~7年の姿である。
さすがの米国でも、リーマンショック以降は、少しは、行儀良くしようとしたのが、業者の登録制である。最も、これにしたって、米国の業者仲間のカルテル的な動きかも知れないのであるが。
日本の証券規制は、全て、米国の後追いである。それも、緩和は早々に、規制は大幅に遅れてである。
だから、本件も、後追いの実行のない規制である。

HFTは、日計り取引をしているだけの存在である。投資家ではなく、ディトレーダーと何ら変わるところが無い。投資家から見ると、本来1円高く売れる(或いは、1円安く蛙)ところを、かすめ取っているだけの、言わば、証券業界の寄生虫みたいなものでしかない。
投資家とは、本来、資本を出す人達のことを言う。
金商法が、とても投資家とは呼べないHFTの業者を、投資家として遇して、規制すると言うのは、真、奇妙な話しである。

日本の株式市場は、外来魚と巨大な骨だけの肴に占拠されて久しい。
外来魚とは、外国人投資家のことであり、その中で、ヘッジファンドは、ピラニアである。
骨だけの魚とは、当然、HFTである。
この骨だけの魚が、注文件数の3分の2を占め、約定件数の3分の1を占めている。それも、「アローヘッド」以来急増してきたというのが、昨今の日本の株式市場の現状である。

HFTの規制は、簡単な話である。
一番、望ましいのは、30年前のような、有価証券取引税の復活である。そうすれば、短期売買業者など、消えてしまう。
次いで、望ましいのは、板寄せシステムの導入である。情報の伝達は、投資家によって、大きな差がある。売買高が、増加したら、一定時間、中断すれば良い。今でも、個別銘柄で、大きな事件が公表れた時には、半日中断とかの措置が取られている。それを、大幅に、拡大すれば良いのである。
その次は、約定時間を、5秒なり10秒なりの時間単位で、売り買いの情報を集めて売買させればよい。
いくらでも、規制のやりようがある。

今回の金商法改正は、投資家の登録と言うことで、お茶を濁し、形だけは、欧米に合わせました、と言うことで、「HFTを規制するつもりがない」、ということであろう。

<追記>
このコメントを読み直して、私が、何故、HFTを嫌っているかについて、記さないと、意味が通じないかと思い、追記する。
株式市場には、数々のロスカットとも言える、制約に縛られている投資家というか、参加者が多い。
・信用取引がある。株価が、一定以上下がると、追証に追われ、強制的に、売却させられる。
・ヘッジファンドにしても、一定の評価損をかかえると、プライムブローカーから、強制手舞いさせられる。
・仕組み債で、プット・オプションを組み込んだものも多い。株価が、ある価格を割り込むと、自動的に、売りが出て来る。
これ他にも、下落時になると出て来るファンドは、色々あるであろう。
HFT以外にも、各種のプログラム取引があるが、株価急落場面になると、裁定取引(先物と現物、銘柄間)やCTAは、下値で売りを出して来る。
HFTは、これらの取引と連動し、株価を、キャッチボールしながら、空売り筋にも会談をつくり、相場を急落させていく。2008年のリーマンショックは、その典型であった。
私は、HFTが、「市場に流動性を与え、相場の調整機能をになっている」だなどとは、決して思わない。ハゲタカと言ってもよいと思っている。
「相場の調整機能」とは、「証券会社の儲けの手口」と同義語である。

私が、ファンドマネージャーを行っていた頃の経験も述べてみる。
例え、QICKに、株価の板情報が載っていたとしても、その値段で売り買い出来なかった。ある売り物があったとしても、その値段で買いに行くと、必ず、売り物が消えているか、誰かに買われた後である。だから、売り物の値段の、一文上、二文上でなければ、その株式を、買うことが出来なかった。ましてや、成り行き買いなど入れたら、どんな値段で、約定価格が入って来るか、判ったものではなかった。
これが、全てが、HFTのせいとは言わないが、投資家にとっては、上前をはねられているようで、HFTと言うモノは、極めて腹立たしい存在であった。


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