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プロフィール

yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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欧州発 電気自動車シフト

AI・ロボット・IOT       2017,7,27

日経新聞に
「英もガソリン車販売禁止へ」「脱石油、世界の潮流に」と掲載されている。
フランスに続いて、イギリスも、電気自動車へ急シフトし、2040年までに、ガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表した。
これを、どうとらえるか。
大義名分は、
「排ガスによる都市部での深刻な大気汚染問題や地球温暖化に対応するのが狙い。EVの普及を促すことで、国内での関連技術の開発を後押しする。」
となっている。
私は、これを、「次世代の車は電気自動車で、当然の流れである」、と言う単純な話ではないと思っている。
大義名分の後段の部分を見てほしい。
これは、「日本の自動車業界包囲網」の一環と言う側面もある、と考えておく必要があると思っている。

2000年代に、自動車の世界では、ハイブリット(HV)車が登場し、2010年代に入って、急速に普及していった。
HV車の原理は、エンジンと蓄電池をソフトでつないだものである。
その結果、HV車は、従来の車と違って、燃費性能だけでなく、一回の給油で、長距離を走ることもできる、画期的な車となった。
ただ、そのソフトは、膨大なデータの蓄積で出来上がっており、今様のの言葉を使えばAIそのものである。
HV車とは、AI車と同義である言って、しかるべきものである。

しかし、ガソリンエンジンとソフトの両方の技術を持つ企業は少ない。
原油輸入国で、ガソリンに高額な消費税を課さなければならなかった日本のメーカーが生み出したものである。欧州も、事情は同じであったが、ディーゼル車に邁進し、袋小路に入り込んだ。
結果的に、世界の自動車の市場は、日本企業と言うか、トヨタ(ホンダも加えて良い)の独壇場となった。
米系自動車メーカーにとっては、手の出ない車になったし、欧州も然りである。
自動車に関する環境規制を打ち出せば、打ち出すほど、自国の自動車産業の足を引っ張り、日本の自動車メーカーに利することが分かってきた。

そこで、欧米は、HV車をパスして、次世代と目される電気自動車を育て上げれば、次に行けるのでは、と考え始めた。
複雑なAI(ロボット)は、手が出ないが、簡単なAIなら。そして、複雑なAI(ロボット)は、外してしまえ、と。
これが、国内に自動車産業をかかえる米国、欧州の現状であり、中国の戦略にもなりつつある。
電気自動車なら、複雑なエンジンも、それを動かすソフトもいらない。
必要なのは、蓄電池とサーボモーターだけである。
かつて、エレクトロニクスの世界で、デジタル化の進展とともに、日本企業の覇権を奪い返した。
それと同じように、アップルやデルのように、設計図と宣伝と販売力だけで勝負ができる、と。

米国では、テスラーに莫大な補助金を交付し(原資は、既存のガソリン車メーカーからの徴収金である)、各種優遇策を採ってきた。
欧州では、フランス、イギリスが法規制に入り、ドイツ、オランダ等も規制に動き出している。
(日産は、仏系企業の傘下に入ったが、業績低迷時に、HVへの投資を怠り、対抗できないと。)
そして、中国も、HV車を追いかけるより、電気自動車の方が簡単そうだと、舵を切り始めた。
今や、世界中が、「HV車パス=日本パス」の動きを示し始めている。
このままでは、20年後の日本の自動車産業が壊滅しかねない図式であるとも言えよう。

しかし、本当にそうなるのかとなると、私は、疑問を抱えている。
一つは、電気自動車そのものの問題である。
今の蓄電池では、1回の充電での走行距離に難があり、格段の技術革新が必要である。
果たして、原理的に可能なのであろうか。
また、電気自動車と言っても、その電気はどこで作って、どう配電するかの問題がある。所詮、電力の大元をたどれば、化石燃料が大半である。太陽光・風力は、そこそこ普及してきたが、不安定電源で、大規模な蓄電施設が必要であり、そこまで考えると、決して安い電源ではない。原子力は、言わずもながである。

現在の電気自動車は、補助金システムの中に成り立っているのである。
将来、電気自動車が主流となったとした場合、補助金では、産業として維持できない。
ガソリン消費量と電気自動車用の電力消費量を比較考量した場合、どちらが効率的かの問題に突き当たるのではないかと思っている。

現在、電気自動車を指向しているのは、ほとんどが、自国に自動車産業を抱えている国である。
競争に勝てそうにないから、勝てそうな土俵を作ろうとしている感じがしないでもない。
では、欧米、中国以外は、どう考えるであろうか。
東南アジア、中南米、西アジア・アフリカ、ロシア等々。
果たして、自国に、電気自動車のための優遇措置をとるであろうか。
それよりは、省エネ、省コストの自動車を望むであろう。1リットルの原油があるとしたら、どう使いまわしたら、最も効率的かと。
一回の給油で、2,000Km走る車は、電力網や給油施設の乏しい国にとって、魅力的ではないだろうか。

これは、独断と偏見の見方かもしれない。
20年後、どうなっているかは、予測がつかない。というより、多分、私の寿命が尽きている世界であろう。
しかし、私は、日本の自動車産業に、将来がないとは、思っていない。
将来性がないと言われた産業が、意外と、生き残っているものである。
ただ、日本の自動車メーカーは、欧米先進国のやっかみの中で、今後も、障害が多いことは確かだと思われる。

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