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yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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日本ガイシのNAS電池に復活はあるか?

日本のエネルギー問題         2017,7,31

日経新聞の私の履歴書は、日本ガイシの元社長柴田氏が執筆し、今日が最後であったが、同氏は、先週末、NAS電池のことに触れていた。
「日本ガイシが、こだわり続けてきた技術がある。ナトリウム硫黄(NAS)電池という、独自の大型電力貯蔵システムだ。深夜の割安な電気を貯めて、日中に使ったり、天候次第の太陽光や風力など再生可能エネルギーの安定供給にも資する。
現実には量産化後も苦難4が続く。12年3月期の創業以来の赤字決算はNAS電池の事故が原因だった。だが我々は諦めない。現社長の大島卓さん自身がNAS電池の開発者だ。」
とある。

私も、3年前まで現役のファンドマネージャー7の頃、大いに期待していた技術である。
懐かしくもあり、書いてみることにした。
電気は、理想的なエネルギー源である。但し、最大の欠点は、貯めることができないことである。
昔から、鉛蓄電池はあったが、サイズ・重量にくらべて、貯蔵できる電力は、極めて少量であった。近年、電池の技術進歩が著しく、リチウム電池が出てき、自動車や飛行機にも登載されるようになってきた。しかし、リチウムは希少金属であり、大規模な蓄電市場を作るには、無理がある。いずれ、電気自動車が普及したとしても、リチウム価格が高騰するのは、目に見えている。
NAS電池は、ナトリウムと硫黄を素材とし、超寿命で、リチウム電池以上に高効率である。
それもその筈、ナトリウムは、水素、リチウムと電荷が同系列である。その上、ナトリウムも硫黄も、極めて安価である。量産で価格低下ができれば、世界に、巨大な蓄電市場が出来上がると思い、私は、大いに期待していた。

但し、NAS電池が世の中に出始めて、程なくして、最大の欠点が露呈した。
元々、300度以上を維持しなければならず、管理にやや難があったが、一旦、火災を起こすと、暴走することであった。
東日本大震災から半年後の2011年9月、三菱マテリアルつくば製造所に設置された東京電力所有のNAS電池に火災事故が発生した。
1000度を超える高熱となり、水での消火活動は不能で、消火用砂袋を集めまわったが、1週間以上燃え続けた。
ほとんど、放射能を出さない原発事故のようなものであると判明した。

第3者委員会の調査報告書による事故原因は、製造不良の単電池(セル)が溶融し、それが隣接するセル→モジュール全体→隣接するモジュールへと延焼していったとある。
この構図は、リチウムイオン電池の発煙・火災事故と同じ構図である。今でも、パソコン、スマホのリチウムイオン電池は、時たま混じった不良品から、火災事件はしばしば起きている。ただ、NAS電池は、蓄電規模が大きい分だけ、桁の違う火災規模になるということであった。

この事件をきっかけに、NAS電池の市場は急速に萎んだ。
何しろ、万一の事故(シビアアクシデント)の備えがなければ、導入できない。三菱マテリアルの事故では、広域に砂袋を探し回った。消火用砂袋などそんなに数のあるものではない。
結局、「火災が起きても」と言う地域に限られて(離島の風力発電用等)しまった。

その後の、NAS電池はどうなったか。念のため、同社のホームページを読んでみた。
2015.3期   ・・158憶円
2016.3期   ・・262憶円
2017.3期    ・・13憶円
2018.3期(見通し)・・30憶円
以前の受注も食いつぶし、今は、売り上げも僅少である・
但し、同社の7コメントでは、時間はかかるが、希望は捨てていないようである。
実証実験を経て、2025年辺りからの急拡大を計画している。

NAS電池の復活は、あるのだろうか?
太陽光発電や風力発電が、普及すればするほど、蓄電市場は増大すると思われる。
外の事業で稼ぐ力がなければ、日本ガイシは、とっくに沈没していたであろう。幸いなことに、同社の他部門は好調である。
他部門が稼いでいるうちに、NAS電池が復活すればよいのだが。
余り時間がかかると、欧米の他企業が、色んな形で参入してくる危惧がある。開発の苦労だけを負ってくれて、ご苦労さん。後は、下がってと。
特許などあてにならない。日本ガイシに、本当の意味での参入障壁を持っているか否かは、私にはわからない。

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