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プロフィール

yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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オリンパス事件再考(1)

証券市場のルール(粉飾・虚偽記載)   2017.8.10

つい先頃、山口義正氏の「ザ・粉飾」を読んだ。
そして、改めて、横尾宣政氏の「野村証券―第2事業法人部」を読み直した。
その結果、改めて、疑問が生じてきた。
オリンパス事件発覚以降の流れは、裁判はじめ、全く歪な方向に向かってしまったのではないかと痛感したので、書くことにした。

オリンパス事件は、私が、まだ、ファンドマネージャーをしていた頃の東日本大震災の起きた2011年の夏以降に起きた事件で、もう6年がたつ。
事件の内容は、極めて悪質だった。オリンパスは、10年以上に渡って、1,000億円を超える粉飾を続けて来たもので、それが発覚した。
私は、オリンパスの株を買ったことはないが(理由は、財務内容が悪かったからで、取材さえしなかった。)、当時、「こんな企業は、上場資格が無い、絶対に、上場廃止にすべきだ」と思ってきた先である。
上場資格が無いという意味では、最近、迷走を続けている東芝より1クラス上で、東京電力と双璧である。

山口義正氏の「ザ・粉飾」を読むと、オリンパス事件の発覚の経緯がよく判る。
私も「FACTA」を読んでいた。社内不正事件があっても、駆け込み先が、証券取引等監視委員会ではなく、「FACTA」の方が、正解であった。
しかし、山口氏は経済ジャーナリストではあるが、巨大な不正事件であったことは理解できても、視点が狭いように思われる。
同氏の記述を参考に、思いつくことを、書いてみる。

1、「10月後半のことだったろうか。経済関連のあるブログが密かに注目を浴び始めた。野村證券OBが書き手となっているもので、オリンパスには隠し損失があり、一連の企業買収はこれと関連している。」同氏と面会し、「私にはよく理解できない部分もあったが、オリンパス企業買収が隠し損失の穴埋めに行われたことが聞けた。」
→この野村證券OBは、ブログ「闇株新聞」の書き手の阪中彰夫氏である。
同氏は、2000年前後、下方修正付き転換社債を生み出し、業績低迷企業に発行させ、海外ヘッジファンドに売り込んだ天才である。
そして、ペイントハウス事件では、自身が有罪判決を受けた経歴もある。
氏の「闇株新聞」は、読むに値するブログであり、本読者にもお勧めする。

2、「東証の開示基準引っかからないように零細企業を高額で買収したことと言い、損失をのれん代に付け替えたことと言い、独創的かつ天才的なアイデアだ。ジャイラス社も同様だ。
→これが、独創的でも天才的なアイデアでも何でもない。指南役がいたからでもない。
オリンパスが行ったことは、2000年前後の、簿価会計から時価会計への移行や、投資事業組合の連結化、監査法人の担当者の異動等の中で、「弥縫策の連続で、結果的に、複雑な仕組みになってしまった」だけである。
そして、のれん代などと、表に出してしまったばかりに、世間にばれるてしまったのである。
→同社は、1990年代の前半から、運用に赤字を抱え、半ばに、パリバ債(オプション付きの仕組債)で、一発逆転を狙ったが、損を拡大させていった。
(同社の損失は、1992.3-500憶円、1996.3-900憶円、2003.9-1,200憶円とか)
→1999~2000年にかけ、世の大半の企業は、含み損を表に出した。また、それと共に、プリンストン債のような詐欺に掛かった有名企業も多かった。それに対し、オリンパスは、外資系銀行(リヒテンシュタイン銀行・LTG、コメルツ、SG)を使って、含み損を飛ばしてしまった。
→同社は、数多くのファンドを跨いで、資金のやり取りをしてきたが、オリンパスの第3者委員会の報告書を読んだだけでは、何故、そうやったかが、判らなかった。しかし、横尾氏の「野村證券」のオリンパス編を読むと、よく判る。証券市場の歴史的推な推移と、同氏の記述を組み合わせると、何故、そんな複雑な仕組みになって行ってしまったのかが、理解できる。
その意味で、横尾氏の「野村証券」は、釈明のため書いたというより、正直に、本当のことを書いているように思われる。
推理小説を読む感覚であった。
しかし、横尾氏が少なからず関係したLTGと国内3企業の関係は、判ったものが、オリンパスの今一つのルートのコメルツ・SGとジャイラスの仕組みには、触れてない。
アクシーズの佐川氏が、同じような本を書いてくれれば、良いのだが。

3、「事件の構図から考えれば、損失を隠した菊川らが主であり、桝沢や横尾弟は従と言うことになり、オリンパスの弱みにつけこんで大きな金をむしりとった桝沢や横尾弟らの悪質さはこれを見る角度によっては菊川以上であり、法廷の場で糾弾されなければならない筈だ。」
→マスコミの人達が、オリンパス事件を取り上ると、こんな論調になる。
証券プロの指南役がいて、それがシナリオを書き、ハイエナの如く高額報酬をむしり取っていたと。(ジャイラス絡みで632億円、国内3社で716億円捻出し、証券会社元社員など外部関係者に150億円流れたとウィキペデア)。そうではない。オリンパスが失った1,350憶円は、丸々、貪欲な世界の金融証券市場に流れて行った話である。
そして、金商法の粉飾・虚偽記載の犯罪者は、オリンパスの経営陣である。証券プロの指南役など、入り込む余地もない。
まるで、菊川達が微罪を行っていたかのような書き方になる。

→横尾氏の「野村證券」を読む限り、同氏の属するGCIの3人の起訴は、検察シナリオによる冤罪の色彩が強い。
しかし、横尾氏が指南役でなかったとすると、2つの疑問が残る。
イ)何故、オリンパスは、横尾の会社GCIに、300憶円のベンチャーファンドGCNV(ケイマン籍)の運用委託したのか
ロ)、何故、横尾は、オリンパスの粉飾を最後まで知らなかったのか?

ここから先は、推測である。
イ)、オリンパスは、1987年のブラック・マンデーの時に、運用で300憶円の大赤字をつくったが、その時に、横尾氏にカバーしてもらった。横尾氏のやり方は、乱暴である。オリンパスに、50億円のワラントと3千万株のNKK株を買わせて、穴埋めしたと。丸で、魔法使いのようであった。
当時のオリンパスは、下山社長であり、岸本取締役経理部長であった。
それが、1998年、横尾氏が独立し、GCIを設立した時に、オリンパスでは、下山会長、岸本社長になっていた。そして、2000年1月、300億円のベンチャー投資ファンド(GCNB)を作り、横尾氏に運用委託した。
下山会長は、含み損を1,000億円近くも抱え、しかも、海外に飛ばしている。もしかしたら、横尾が魔法の杖で取り返してくれるかもしれない。丁度その頃、ソフトバンクが、スタンフォードの学生に何億かを出資したら(ヤフー)、ITバブルで、何千倍にもなって返ってきた時期だから、横尾ならできるかもしれないと。
結局、夢でしかなかった。横尾の手掛ける投資先には、結局、ろくなものがなかった。
次の菊川社長は、横尾と縁が少ない。横尾氏には、早々に見切りをつけ、2007年にドGCNBを繰上げ償還しての手仕舞いに繋がったのであろう。

ロ)、横尾は、何故、オリンパスの粉飾が見抜けなかったのか?この世界の、プロの筈なのにおかしいではないか。
常識的には、そうである。そこで、ある言葉が浮かんでくる。
魏の曹操は、「俺が騙すのはよいは、俺を騙すのは決して許さん。」
野村證券の社員は、お客を騙すことはあっても、騙されることはあり得ない。つまり、横尾氏は、騙した経験は数多くあるが、騙されたことが一度もない、騙されることに、全くの未経験だっただったのではなかろうか。
そうとでも解釈しないと、横尾氏が、目の前のオリンパスの粉飾を気付かずに、その上、一部、加担までさせられていたことの説明がつかない。
(それとも、薄々は知ってはいたが、気付かないふりをしよう、出来るだけ、近寄らないようにしよう、としていたのであろうか。)
後は、次回
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