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プロフィール

yuji0517

Author:yuji0517
氏名、野崎雄二(YUJI NOZAKI)
経歴、1947年、新潟県生まれ
 1970年、早稲田大学政治経済学部卒
 1970~1994年、住友信託銀行
 1994~2014年、住信投資顧問(現三井住友トラストアセットマネジメント
 2014年、退職
30年余にわたり、株式のファンドマネージャーを続けて来た経験から、書き残してみたいものが、多々あり、ブログを始めてみた。
<初めて、読む方に>
左下の「過去の掲載記事のテーマ一覧」で、「初めに」に、ブログの全体像を、次いで、テーマ別に、頭に、目次を付けていますので、興味あるテーマを選んで、読んでいただけたらと思います。

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オリンパス事件再考(続)

証券市場のルール(粉飾・虚偽記載)  2017,8,11

オリンパス事件発覚後の経過

2011年12月、第3者委員会が調査報告書
2012年1月、東京証券取引所が上場維持公表
2012年2月、東京地検特捜部と警視庁捜査2課が強制捜査
2012年3月、証券取引等監視委が、同社の虚偽有価証券報告書提出事件の告発
2012年7月、金融庁がオリンパス粉飾決算問題であずさと新日本監査法人に業務改善命令
2013年7月、東京地裁は菊川前社長に懲役3年執行猶予5年、
森前副社長に懲役3年執行猶予5年、山田善常勤監査役に懲役2年6月執行猶予4年
2014年9月、米SEC、アクシーズアメリカの佐川に司法取引で刑罰なし
2014年12月、東京地裁は、アクシーズ・ジャパンの中川に懲役1年6月執行猶予3年
2015年7月、GCIの横尾に懲役4年、羽田に懲役3年、小野に懲役2年執行猶予4年
2015年10月、東京地検が、アクシーズアメリカの佐川を在宅起訴

以上の経緯を踏まえて、オリンパス事件が、どのように推移し、どこに疑問点が残っているかについて、私なりの見解を述べてみたい。

1、第3者委員会の調査報告書への疑問

第3者委員会の甲斐中委員長は、最高裁判事や東京高検検事長の経歴を持ち、JALの調査報告書では、「会計処理は不適切だが、役員等の刑事上民事上の法的責任があるということはできない」と言い、JALの役員連中を守った、いわくつきの弁護士である。
だから、オリンパスの粉飾疑惑が勃発した時、第3者委員会の委員長に選ばれたのであろう。横尾氏の「野村證券」では、山田が、「俺が選んだ」と言っており、経営陣よりの報告書を書いてくれると。
出てきた報告書は、「経営陣の責任も追及し、予想以上に厳しい調査報告」と、マスコミは、コメントしていた。
しかし、内容をよく読むと、最大の特徴は、「歴代社長の下山、岸本、菊川と山田、森の2人」が、全てを取り仕切ってきたかのようになっている。それも、1980年代からで、ある。
つまり、「会社ぐるみではない。ごく限られたメンバーが、社外の人間と、飛ばしを行ってきた」と。
すなわち、オリンパスと言う会社寄りの報告書を作成したのである。当然と言えば当然。第3者委員会の委員は、会社から委任されていたのであるから。
これが、私には、オリンパス事件のその後の展開に大きく影響を及ぼしたように思われてならない。

2、東証が、オリンパスの上場を維持

第3者委員会の報告書が出て、僅か1月後の2012年1月、東京証券取引所は、早々に、上場維持を公表した。
「一連の不正が一部の関与者だけによるもので、主要な事業部門に直接関係がなかったこと、事業の経営状況には影響が及ばない形ですすめられ、売上高や営業利益におおむね影響を与えていないこと」―などが上場維持の理由だった。

オリンパスは、10年以上にわたって、1,000億円をこえる悪質な粉飾をおこない、その間、株式は売買を行われ続け、ファイナンスまで行ってきた。そのオリンパスの、どこに上場資格などあるか。これほど、株式市場を、バカにした話はない。ライブドアなど、わずか50億円の粉飾で、上場廃止となったのに。
東証の定款には、「有価証券の売買を公正かつ円滑ならしめること」とあるが、「公正」は、どこに行ったのだと、当時はまだ現役ファンドマネージャーであった私は、本当に憤ったものである。

3、証券取引等監視委員会の対応

翌2月、東京地検特捜部と警視庁捜査2課が強制捜査に入り、翌3月、証券取引等監視委が、同社の虚偽有価証券報告書提出の告発を行った。
何故、東京地検は、金商法・虚偽記載を専任で監視し、且つ、捜査権もある証券取引等監視委との合同捜査ではなく、警視庁捜査2課との合同捜査を始めたのであろうか。

もう、ここで、検察のシナリオが出来上がっていたのではないかと推測される。
主犯・・外部の証券プロ、指南役
従犯・・オリンパス経営陣
オリンパスおよびその経営陣の刑をできるだけ軽くし、代わりの犠牲者を仕立て上げると。
その指南役として標的となったのが、GCIの横尾、羽田、小野の3人と、アクシーズの佐川、中川の2人である。(佐川は、米国に身柄拘束されているので、中川しか拘束できなかったが)
そうでなければ、最初から、警視庁捜査2課が入っている説明ができない。
また、証券取引等監視委の動きは遅かったし、検察の捜査を待ってからの告発となった。(そもそも、誰を告発すべきか迷っていたのであろう。)
第3者委員会の甲斐中委員長が、元東京高検検事長であったことが、大きく影響しているのではないかと、疑いたくもなる。

また、証券取引等監視委は、オリンパスに、過去5年分の有価証券報告書の訂正届を提出させ、192百万円の課徴金を課したが、裁判で7億円の罰金が確定したので、取消しを行っている。
私は、この過年度に渡る有価証券報告書の訂正届には、大いに疑問を持っている。
前年度の財務諸表・損益計算書を訂正しておき、当年度決算を行う。幾ら、過年度分を修正し、特別損失をだしたのか、判らなくなっている。
オリンパスの株価は、過去の訂正前の有価証券報告書にリンクして、形成されている。
にもかかわらず、それを訂正してしまったら、2011年8月~9月の株価の暴落は説明できなくなってしまう。
過年度の粉飾は、粉飾が判明した段階で、過年度損益修正として計上すべきものである。
何故なら、株価は修正できない。そして、どんな粉飾をした有価証券報告書を出していたかを、粉飾の痕跡も、記録として残し、誰もが、検証できるようにしておくべきものと思われる。
証券取引等監視委員会には、その後も、過去の有価証券報告書の訂正を、指示しているようである。つい最近、富士フィルムが、傘下の富士ゼロックスの海外法人が、長期にわたって粉飾していたとして、過去5年間の有価証券報告書の訂正を行った。
こんな馬鹿なことは、早々に中止すべきであると思っている。

4、東京地検のシナリオ調査

GCIの横尾氏等3人に対する取り調べの状況は、横尾氏の「野村証券」に書かれている。また、アクシーズ・ジャパンの中川氏に対する取り調べの状況も、ネットを検索すると出てくる。いずれも、オリンパス事件の共犯、乃至首謀者かのような扱い方のようである。
求刑と判決を比べてみる。
                求刑    一審判決
オリンパス      
  菊川(元社長)      5年   3年(執行猶予付)
  森(元副社長)      5年   3年(同上)
  山田(元常勤監査役)  4年  2年6月(同上)
WCI           
  横尾(元野村)      6年   4年 (実刑)
  羽田(元野村)      5年   3年 (実刑)
  小野(元野村)      3年   2年(執行猶予付)
アクシーズ・ジャパン証券  
  中川(元野村)      3年  1年6月(執行猶予付)

この組み合わせは、どう見てもおかしくないであろうか。
金商法の第1条は、次のようになっている。
「この法律は、企業内容等の開示の制度を整備するとともに、金融商品取引業を行う者に関し必要な事項を定め、金融商品取引所の適切な運営を確保すること等により、有価証券の発行及び金融商品等の取引等を公正にし、有価証券の流通を円滑にするほか、資本市場の機能の十全な発揮による金融商品等の公正な価格形成等を図り、もつて国民経済の健全な発展及び投資者の保護に資することを目的とする。」
オリンパス事件とは、オリンパスと言う東証1部上場会社(225採用銘柄でもある)が、10年以上に渡って、1千億円を超える巨額な粉飾決算を続け、投資家を欺き続け、株式市場の公正さ(金商法上の用語)を著しく傷つけたモノである。

金商法上の罰則の対象者は、有価証券報告書の提出者である、菊川社長である。
先ずは、菊川元社長が、金商法上の最高刑である、懲役10年の実刑からスタートすべき案件ではないであろうか。
時効と言う概念がなければ、2001年に菊川に社長を引き継いだ、岸本前社長が次に来る。
また、多額の運用損を発生させた当事者で、その後の隠蔽作業の実行者は、山田である。彼が、その次に来るであろう。

オリンパスの粉飾・隠蔽には、数多くの人間が携わっている。
中塚以下、数多くのオリンパス関係者がいる。それを、何処まで対象とすべきかについては、判断に迷うところであるが、これは、一握りの人物だけが、行ってきたものではない。
社外にも、粉飾・隠蔽に協力し、また、その利得にあずかったものは、個人であれ、法人であれ、数多い。何しろ、粉飾額の1350憶円は、ばらまかれたと言っても良いだから。
1990年代は、パリバ証券であろうか。2000年代は、LGT銀行、コメルツ銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行である。
個人で言えば、もっと多く関わり、オリンパスの社外取締役になったパリバの林や、LGTの臼井、コメルツ・SGのチャン・ミン・フォンなどは、何故、訴追されないのか。
GCIの横尾らやアクシーズの中川は、オリンパスの社外関係者の中で、特捜部の目に見えるところにいたからとしか思われない。

東京地裁の裁判結果は、肝心のオリンパス経営陣が、全員執行猶予付きで、横尾、羽田が実刑である。
東京地検は、いわゆる外部の指南役を共同正犯(共謀)で起訴したが、東京地裁は、さすがに共同正犯では、金商法の捻じ曲げとなるので、幇助としたが、これも結構無理筋である。幇助なら、オリンパスの会社関係者や、もっと、綿密に係わった外部関係者がいる。
横尾、羽田の詐欺罪、組織犯罪処罰法(マネーロンダリング)は、こじつけそのものである。
東京地裁は、東京地検のシナリオ捜査と起訴を、ほぼ認めた判決を出した。
菊川らオリンパス関係者3人は、喜んで(これでも厳しいと思ったかもしれないが)、判決を受け入れた。
GCIの横尾ら3人とアクシーズの中川は、当然、控訴・上告している。最高裁は、未だである。

アクシーズは、米国の代表が佐川で、日本の代表が中川となっている。
オリンパスの飛ばしにも関わり、今回のジャイラス買収にも、大きくかかわっているのは、中川ではなく、佐川(68歳)のようである。
しかし、彼氏は、米SECとFBIに捜査協力(逮捕されたのか、出頭したのかは不明)し、2014年9月、「将来的に米国では、証券業務に従事しないこと」で、無罪放免となっている。
何とも奇妙な話である。後は、推測である。
米SECは、何の情報手に入れたのか?
多分、オリンパス事件に絡んだLTG銀行、コメルツ銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行の手口であろう。私は、オリンパス事件は、オリンパスの粉飾額1450憶円は、世界の金融・証券業界にばらまかれたと述べた。米国SECは、中川氏を通じて、彼らの手口入れたのであろう。
或いは、野村証券の情報も、と思われたが、彼が野村を離れたのは早く、且つ、野村證券自体は、オリンパス事件には、ほとんど絡んでいないので、それはないであろう。

2015年10月、佐川氏は、在宅起訴された。
「微罪で済ませるから、日本に帰国して、捜査協力しろ」との噂が流れている。
その後、裁判が行われたという情報はない。

<追記>
本件は、オリンパス事件にかかわる、集団訴訟や投資家の損害賠償に係る裁判や、オリンパスが米国での医療事業に係る不正行為に係る制裁金(700億円余)については、省略しているので、あしからず。
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